公務員として仕事をしている方の中には、業務内容が自分に合わなかったり、人間関係が辛いと感じていて、病気休暇や休職制度を利用して休みたいと考える人もいますよね。
ただ、具体的に病気休暇や休職によってどんなメリットやデメリットがあるのか、分からないと不安ですよね。
私も公務員として働いていた経験がありましたが、職場の人間関係がうまくいかずに、辛くなって病気休暇や休職制度を利用したことがあります。
そこで今回は筆者の経験を踏まえて、公務員の休職・病気休暇によるメリットとデメリットを徹底的に解説していきます。
・休職、病気休暇によるメリットとデメリット
・休職と転職、おすすめはどっち?
・休職、病気休暇までの流れ
公務員として働いている方の中で、病気休暇・休職をしようか悩んでいる方は是非最後までご覧ください。
目次
公務員の病気休暇・休職制度とは?
まずは公務員の病気休暇・休職の制度について詳しく見ていきましょう。
下記で詳しくお伝えしますが、病気休暇と休職では、取得できる期間と給料に違いがあり、それぞれ別の休暇制度となっています。
休職と病気休暇の違いは期間と給料
病気休暇ですが、最大3か月まで取得することができるうえ、その間の給料は病気休暇前の金額が満額保障されるという制度です。
病気休暇の3か月の間に復帰できない場合は、最大3年間取得できる休職を利用することで、最初の1年間は80%、次の1年半は3分の2の給料が保証されています。
期間と給料の対応を表にまとめると下記の通りです。
期間 | 給料額 |
病気休暇(最大3か月取得可能) | 100%支給 |
休職(~1年) | 80%支給 |
休職(1年~2年半) | 3分の2支給(給料ではなく傷病手当金) |
休職(2年半~3年) | 無給 |
公務員の病気休暇・休職の3つのメリットとは?
公務員の病気休暇・休職制度について見ていきましたので、次は病気休暇・休職のメリットについて詳しく解説していきます。
病気休暇・休職のメリットですが下記の通りで、大きく分けると3つありますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
・給料額の保証
・最大3年3か月取得できる
・復帰後の異動が考慮される
一定額の給料の支給が保証されている
病気休暇・休職の1つ目のメリットは、病気休暇・休職の制度でお伝えした、給料額の保証が挙げられます。
病気休暇や休職中には病院への通院や薬代で通常よりも出費がかさむうえに、給料以外の収入が無いという方も多いので、給料額が病気休暇・休職中も支給されるのは、休養に専念できるため、大きなメリットですね。
特にうつ病で精神的に疲れているときは、判断力や集中力も低下しているので、お金のことを気にせず、自分の時間を作り、治療に専念できるため、筆者自身も病気休暇を取得してよかったと感じています。
最大3年3か月取得できる期間の長さ
病気休暇・休職の2つ目のメリットは、合わせて最大で3年3か月取得できる期間の長さです。
職場に元気よく復帰するまでの猶予期間に余裕がないと、焦ってしまい、病気が再発してしまう可能性もありますので、最大で3年3か月も取得できる期間の長さも大きなメリットといえますね。
復帰後の人事異動が考慮される
病気休暇・休職の3つ目のメリットは、復帰後の人事異動に関して、考慮される可能性があるという点です。
公務員の人事異動の仕組みについてはこちらの記事で詳しく解説していますが、基本的に思い通りの異動希望が通ることがありません。
ただし、病気休暇や休職から復帰後の人事異動については例外で、復帰した職場の業務内容や人間関係の影響で過度に負担をかけないために、業務負担の少ない部署や人数的に余裕のある部署に配属されやすいです。
公務員の病気休暇・休職の3つのデメリットとは?
公務員の病気休暇・休職のメリットについて見ていきましたが、良い点ばかりでなく、公務員として働き続けるうえではデメリットもいくつか挙げられます。
そこで次は病気休暇・休職のデメリットを大きく分けて3つ見ていきましょう。
・出世に影響する
・休職中の行動に注意が必要
・昇給、ボーナスに影響
今後の出世に影響する
病気休暇・休職の1つ目のデメリットは、同じ省庁、自治体で働く上では、出世に大きく影響するという点です。
病気休暇や休職の取得を悩んでいる方の中には、出世やキャリアへの影響が気になるという方もいますが、実際出世への影響はかなり大きいです。
詳しくはこちらの記事で解説しておりますが、公務員が出世するためには、残業の多い過酷な部署を経験していくため、心身ともにタフさが求められます。
人事担当者からしてみても、病気休暇や休職の経験がある人は、残業や負荷の大きい重要なポストに置きづらいため、出世コースからは外れてしまう可能性が大きいです。
病気休暇・休職中の行動に注意が必要
病気休暇・休職の2つ目のデメリットは、病気休暇・休職期間中の行動に制限がかかるという点です。
病気休暇・休職中は勤務時間に関わらず、治療に専念しなければいけません。
特に給料が一定額保障され、支給されることから、病気休暇・休職中の行動に対してかなり厳しい目が向けられています。
そのため、本人が気分転換や治療の一環だったとしても、旅行や祭りへの参加を理由に懲戒処分されることがあります。
大阪府教委は10日、休職中にヨーロッパを旅行したとして、同府吹田市立中学校の女性教諭(32)を減給6カ月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。
府教委によると、教諭は病気を理由に休職中だった2014年11~12月に5泊7日でヨーロッパを旅行した。事前に相談した上司から控えるよう指導されていたが従わず、府教委は地方公務員法の信用失墜行為に当たると判断した。旅行を告発する匿名のメールが府教委に寄せられ発覚した。教諭は現在復職しており、「軽率なまねをしてしまい、反省している」と話しているという。
実際の事例を見てみると、大阪府の教師が上記の理由で、減給処分を受けています。
上司の指示に従わなかったのも原因ではありますが、休職中の旅行が原因で処分をされています。
病気休暇や休職中に旅行に行ったからと言って必ず処分の対象になるわけではなく、リフレッシュのための外出や国内旅行であれば問題ない場合もあるため、懲戒処分されないためにも、予め上司や人事担当者に確認しておくのが無難ですよ。
また、こちらの記事で詳しく解説していますが、病気休暇や休職中の副業に関しても懲戒処分の対象になるため、注意が必要ですね。
病気休暇・休職中は昇給・ボーナスに影響
病気休暇・休職の3つ目のデメリットは、昇給やボーナスに影響するという点です。
公務員の昇給の仕組みについてはこちらの記事で解説していますが、病気休暇や休職中は昇給の幅に制限がかかり、前1年間の欠勤日数によっては、1~3号昇給もしくは昇給なしとなってしまいます。
ボーナスの決まり方についてはこちらの記事で詳しく解説していますが、夏と冬に支給されるボーナスは、過去半年間の勤務状況をもとにして支給額が決まるため、休職後1年目のボーナスは5割~7割程度に減額、2年目以降はボーナスが支給されません。
病気休暇・休職までの流れとは?実体験をもとに解説
病気休暇・休職には様々なメリットとデメリットがあるとお伝えしましたが、実際に休職を取得するには、どのような流れで手続きをするのでしょうか。
そこで次は、病気休暇・休職を取得するまでの流れを筆者がうつ病で病気休暇を取得した実体験に基づき解説していきます。
病気休暇や休職の申請をしたいけど、具体的に何をすればいいのか分からない方も多いと思いますので、3ステップで順番に見ていきましょう。
ステップ1:病院の受診
ステップ2:診断書をもらう
ステップ3:直属の上司に相談し、診断書を提出
必要な持ち物と診断書についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
ステップ1:病院の受診
まずは、病院(うつ病や心のストレスであれば心療内科)を受診します。
特に都心部の心療内科は、かなり混雑していて初診自体断られてしまったり、予約が取れても1週間~1か月待つ必要があったため、注意が必要です。
実際筆者も病院探しに手間取ってしまい、「うつ病の相談をしたい」と思い、心療内科を探し始めてから初診まで1か月以上も時間がかかってしまいました。
自分の現状や改善・治療方法を担当医と相談したうえで、病気休暇が必要であれば、ステップ2に進みます。
ステップ2:医師から診断書をもらう
改善・治療方法を担当医と相談したうえで、病気休暇が必要な場合には、「病気休暇の申請をしたいので診断書が欲しい」と相談し、医師に診断書を書いてもらいます。
ステップ3:直属の上司に相談し、診断書を提出する
ステップ3ですが、状況の報告と、病気休暇の申請の相談を直属の上司(係長)にします。
医師の診断書をもって、直属の上司に相談し、病気休暇を取得したい旨と、その根拠となる診断書を提出しましょう。
可能であれば担当業務の引き継ぎや調整などの準備をしておき、病気休暇に入ります。
公務員の病気休暇取得までの流れはあくまで一例で、人によっては先に職場の上司に相談をしたり、職場の産業医を通して相談する方もいます。
復帰後の人間関係が心配?休職すると迷惑がかかる?
病気休暇・休職までの流れについてお伝えしましたが、ここまでお読みいただいた方の中には自分が病気休暇を取得することで職場に迷惑をかけないか不安に感じている人もいますよね。
結論からお伝えすると、病気休暇の取得で職場に迷惑がかかることを心配する必要はありません。
病気休暇の取得をためらって、病気が悪化してしまい、突然仕事ができなくなってしまうほうが、復帰までに時間がかかってしまいますし、同僚も引継ぎの対応に追われてしまい、職場としても負担が大きくなってしまいます。
そのため必要な病気休暇を取得することをためらう理由は一つもありません。
休職と転職、おすすめはどっち?
ここまで病気休暇や休職の制度について詳しく見ていきましたが、仕事や人間関係で悩んでいる方の中には、転職も視野に入れている方もいますよね。
そこで、次は休職と転職、どちらの方がおすすめなのかを詳しく見ていきましょう。
休職と転職ですが、仕事や人間関係で悩んですぐ転職を考えるよりも、まずは病気休暇や休職という選択をおすすめします。
なぜなら一般的に公務員は民間企業よりも福利厚生制度が手厚く、病気休暇・休職期間に心身ともに回復してからの方が転職活動もしやすいからです。
焦って転職しても、転職先の民間企業の労働環境がブラックな会社も多いので、転職した結果、後悔する可能性も考えられます。
すぐにでも転職して民間企業で働いてみたいという方や、休職中に復帰が難しそうな方であれば、転職活動も視野に入れましょう。
こちらの記事で公務員から民間への転職を成功させる方法を解説しておりますので、是非ご覧ください。
まとめ:公務員の病気休暇・休職はメリットが大きい
今回は公務員の病気休暇・休職の制度とメリット・デメリットについて解説しました。
・公務員は病気休暇、休職通して最大3年3か月休める
・期間に応じた給料額の保証がある
・病気休暇、休職はメリット、デメリットがいくつかある
公務員は福利厚生制度が充実している分、病気休暇や休職によるメリットも大きいので、取得に悩んでいるという方はデメリットも踏まえたうえで、検討してみてはいかがでしょうか。
制度として使えるものはしっかりと使い、万全を期して仕事に復帰できるよう頑張りましょう!
以上ザワングでした。