民間企業と同じように、公務員にも課長や係長といった役職があり、自治体や組織によって様々な種類、呼び名があります。
実際に私も公務員時代に「係長や課長は分かるけど、主査、主幹って何?!上下関係はどっちが上なの?」と困惑してしまったことがあります。
そこで今回は、地方公務員の役職一覧と上下関係について、詳しく解説していきますので、是非最後までご覧ください。
これから公務員を目指す方や若手公務員の方は、役職の名前や上下関係を知っておかないと、いざというときに困ってしまったり、恥をかいてしまうので、必ず知っておきましょう。
目次
地方公務員の役職とは?上下関係は?どのように昇進していくの?
まずは地方公務員の一般的な役職と昇進の流れを見ていきましょう。
地方公務員の役職は、下記の通りで、順番に並べると「主事」「主任」「主査」「係長」「課長補佐」「課長」「部長」の順番で出世をしていきます。
・主事
・主任
・主査
・係長
・課長補佐
・課長
・部長
次はそれぞれの役職の詳しい仕事内容と昇進時期、組織内での立場について詳しく見てきましょう。
主事:民間企業の平社員ポジション!スタートの役職
主事は民間企業でいう平社員(役職を持たない職員)のポジションにあたります。
採用区分や高卒、大卒などの学歴に関係なく、ほとんどの公務員が入庁すると最初に経験する役職です。
主事の期間は、様々な部署を2~4年程度のスパンで異動し、公務員としての経験を積んでいく期間で、業務内容も上司からの指示やマニュアルに従って行う業務がほとんどです。
公務員の昇給の仕組みについてはこちらの記事で解説していますが、主事の段階では、出世や給料に大きく差がつくことはなく、経験年数に応じて年功序列で昇給し、6~8年程度で主任に昇進する自治体が多いです。
例外的に東京都や東京特別区などでは、経験年数だけでなく、昇任試験に合格しないと主任に昇進できない場合もあります。
主任:ここまでは年功序列!係を支える役職
主事が昇進すると、主任という役職になります。年齢や職歴によっては経験者枠で採用時から主任の役職でスタートする場合があります。
主任の業務内容としては、主事と大きく変わらず、基本的には上司からの指示やマニュアルに従って行う業務がほとんどですが、主事よりも難易度が高い仕事や責任の大きい仕事が振られることが多くなります。
組織内の人数比でも主任が一番多く、人によっては主任のまま定年を迎える人もいます。
主事・主任までは経験年数に応じた年功序列なので給料、出世の面で差がつくことはほとんどありません。
主査:係全体のフォローと係長をアシスト!
主査は、主任と係長の間にある役職で、部署によっては、主査が置かれず、係長が主査の業務も兼業する場合もあります。
主な業務としては、係内の給与、人事関係の管理等や係全体のフォロー、主事、主任よりも難易度の高い業務を行います。大規模な組織であれば、係長を補佐する役割も担うことがありますよ。
係長:係を統括する大黒柱!
係長は、その名前の通り、係を統括する役職です。係の運営や後輩の指導なども行うため、課長から指示された業務を適切に部下に割り振るマネジメント力とコミュニケーション力が求められます。
業務内容もより高度な内容となり、部署によっては議員や市長との関わりが出てくることもあります。
係長から先の役職はポストが限られているため、係長からは出世する人としない人の差が露骨に大きくなり、同期同士の給料にも差が出始めます。
また自治体によりますが、係長からは管理職扱いとするところもあり、残業代の代わりに管理職手当が支給される可能性もありますよ。
課長補佐・課長代理:次期課長候補!管理職もここから
係長が昇進すると、次は課長補佐という役職になります。課長補佐は名前の通り、課長の業務を補佐する仕事がメインの役職です。
自治体によっては課長補佐ではなく、課長代理という役職で呼ばれていることがありますが、役職の意味合いは同じです。
どの自治体も課長補佐からは管理職となり、残業代の代わりに管理職手当が支給されるようになります。
課長:課をまとめる管理職
課長補佐が昇進すると課長になります。課長はその課を統括する役職で、基本的には自治体の中にある課の数と同じ人数しかいません。
課長の業務内容としては、課全体の統括、上司と部下の間で業務の調整や指示を潤滑に伝達する役割や、課内の人事関係、議会対応を行います。
課長になると議会対応や議員との付き合いも増え、仕事内容もより高度なものが増えるので、どの部署の課長でも定時で帰れることがほとんどなくなります。
係長よりもポストが限られているため、課長まで昇進するためには、高い業務処理能力はもちろん、コミュニケーション力や、運も必要です。
町や村などの小規模の自治体の場合、部長がいないため、課長が職員の中で最も高い役職の場合もあります。
部長:出世できるのはごくわずか!最上位の職員の役職
課長が昇進すると部長になります。部長は多くの自治体の一般職員では最も高い役職で、重要な事項や予算が絡む案件などの承認、管理職の人事関係、議会対応が主な業務です。
課長よりもポストが限られ、その自治体の部の数と同じ人数しか部長もいませんので、部長まで昇進することができるのは、同期の中でも1人いるかどうかです。
自治体によりますが、専属の秘書や部長用の公用車、広めの執務スペースが付いてくることもあり、やはり一番上の役職だと業務内容と責任が大きい分、課長以下の職員と比べて、待遇も一線を画して良くなりますね。
また都道府県や政令指定都市などの大規模な自治体の場合は部長の上に局長という役職が設置されていることがあり、さらに限られたポストで出世争いを勝ち抜いて昇進することができます。
課長と主幹はどっちが偉い?部長と参事は?他にどんな役職がある?
ここまで地方公務員の役職について解説していきましたが、自治体によってはあまり聞きなじみのない「主幹」「参事」などの役職で呼ばれている人もいます。
そこで次は先程紹介した役職以外に地方自治体にある様々な名称の役職が具体的にどのくらいの立ち位置でどんな業務をするのかを詳しく見ていきましょう。
・副主幹
・主幹
・副参事
・参事
副主幹:係長級~課長補佐級
副主幹と呼ばれる役職は自治体によって立ち位置が変わりますが、係長級~課長補佐級の役職であることが多いです。
そのため、主な業務内容は組織のサブリーダーとして課長や課長補佐のサポートをしたり、係全体の重要な仕事を管理する仕事ですよ。
次に解説する主幹の下でサポートや補佐をする仕事を行う場合もありますよ。
主幹:課長補佐級~課長級
主幹と呼ばれる役職は立ち位置でいうと、課長補佐級~課長級の役職で、部下に副主幹を設置している場合もあります。
「仕事の中心となる人」という意味合いがあり、業務内容自体は課長、課長補佐と同様の仕事が多く、自治体のなかで、特に力を入れている分野(観光産業など)の部署や、コロナウイルス対策など特に強化しないといけない部署に主幹を設置していることが多いですよ。
副参事:課長補佐級~課長級
副参事は、課長補佐級~課長級の立ち位置の役職で、主な業務は担当する業務の専門的な知識や経験を生かして、課長や係長の相談やアドバイス、サポートを行います。
自治体によっては副参事の意味合いが異なる場合もあり、係長や課長補佐から課長に昇進した1年目に管理職としての経験を積ませるために「課長見習い」の意味合いとして副参事になる場合もあります。
参事:課長級~部長級
参事は課長級~部長級の立ち位置の役職で、副参事同様、担当する部署の専門的な知識や経験を生かして、課長や部長の相談やアドバイス、サポートを行うのが主な業務です。
副参事同様、自治体によっては、課長や部長に初めて昇進し、管理職としての経験値を積むための経験として参事になる場合もあります。
担当課長って?課長との違いは?担当が付く理由
ここまで、地方公務員の様々な役職を見ていきましたが、担当課長や担当係長など、頭に「担当」が付く役職を持っている人を見たことがありませんか。
担当がついている場合に仕事内容や役職の立ち位置に違いがあるのか気になりますよね。
結論からお伝えすると、担当がついていても仕事内容や役職の立ち位置の違いはほとんどありません。
そもそもなぜ担当課長や担当係長が設置されているのかというと、業務の分割を行う目的があります。
大きな部署や忙しい部署は、課長一人では対応できない業務量がありますが、課を2つに分けるわけにもいかないため、特例的な措置として担当課長が置かれます。
係長や他の役職の場合も同様で、1人では対応できない業務を分割する目的で設置されますよ。
そのため担当課長は、業務内容自体は課長と大きく変わらず、役職の立ち位置も課長と同じ対等な関係であることがほとんどです。
まとめ:公務員の役職は複雑?序列や階級は?
今回は地方公務員の様々な役職について詳しく見ていきました。今回の話をまとめると下記の通りです。
・公務員の役職は主事<主任<主査<係長<課長補佐<課長<部長の順番
・主幹や参事など様々な名称の役職が設置されている場合もある
特に部長や課長に出世したいという方や昇進に興味のある方は、役職の名前と立ち位置をしっかりと把握しておくことが重要です。
自治体によっては役職の名称や順番、昇進の仕方が多少異なるので、今回の内容を参考に、勤務先の自治体にどのような役職があるのかチェックしてみてはいかがでしょうか。
以上ザワングでした。